短絡比
同期発電機の短絡比を算出するには、発電機の定格速度における無負荷飽和曲線及び三相短絡電流を求め、次に前曲線から定格電圧を発生するに必要な界磁電流(I1)を、後曲線から定格電流を発生するに必要な界磁電流(I2)を求める。これらの電流値から、短絡比は I1/I2で算出される。
定格電圧を発生するに必要な界磁電流(I1)
短絡比=―――――――――――――――――――――
定格電流を発生するに必要な界磁電流(I2)
一般に短絡比は同期インピーダンスの逆数に相当し、短絡比が大であれば、同期インピーダンスは小、鉄機械となり、安定度はよくなり、電圧変動率は小さくなるが、機械が大きく高価になり、また、風損や機械損、鉄損なども増え、効率は悪くなる。
電気機械の出力は変圧器や同期機などの回転機も含め磁気装荷と電気装荷の積に比例する.
磁気装荷とは鉄心に磁束を通すために必要な磁気回路に相当するもので,電気装荷は変圧器で言えば巻線に相当する部分のこと.磁気回路の部分を大きくすると鉄心部分が大きくなるので一般に機械の形態は大きくなりこのような機械を鉄機械という.逆に巻線に相当する部分を大きく取れば鉄心部分は小さくなるので機械の形態は小さくなりこのような機械を,巻線は銅を使用しているので銅機械と言う.そして機器の内部インピーダンスは巻線部分に相当する部分に比例する.つまり鉄機械は巻線に相当する部分が小さいので内部インピーダンスは小さくなるので電圧変動率が小さくなり、逆に銅機械は巻線に相当する部分が大きいので内部インピーダンスは大きくなるので電圧変動率が大になる.同期機の短絡比は次のように定義されている.
無負荷定格誘導電圧を発生するに必要な励磁電流
短絡比=――――――――――――――――――――――――――――
定格電流に等しい三相短絡電流を発生するに必要な励磁電流
短絡比が大きいとは定義式の分子が大きく分母が小さいといえる.ここで,
定格電流に等しい三相短絡電流=誘導起電力(界磁電流に比例)/同期インピーダンス
となるので「同じ定格電流に等しい三相短絡電流」を得るのに同期インピーダンス(内部インピーダンス)が小さければ少ない誘導起電力で済むことになる.つまり短絡比の大きい同期機は構造的に同期インピーダンス(内部インピーダンス)が小さいので電圧変動率が小さくなる.また,同期機の安定度は簡略的,
同期機の安定度=誘導起電力×端子電圧×cos(内部相差角)/同期リアクタンス
となるので同期リアクタンス(同期インピーダンス)が小さければ式の分母が小さくなるので安定度は逆に大きくなることになる.また,銅機械ではこれらの逆になる.
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